(ネタバレ注意)10冊目・許されようとは思いません
- 2019.06.28
- 読書感想文

どうも、さわおです。
今回紹介する作品は芦沢央先生の「許されようとは思いません」です。
芦沢央先生といえば「火のないところに煙は」が有名ですよね。以前、こちらのブログでも紹介しました。
いやはや、怖い作品でしたね。もともとホラーは書かれない方のようですので、ぜひともまた書いてほしいものです。
そして,「許されようとは思いません」はそんな芦沢央先生の書かれた5編の短編集となっています。
作品評価=良
どんでん返し<緊張感
この本を手に取るとき、一番目に付くのはやはり帯ですね。
「このどんでん返しがヤバい!!」と大きく書かれています。これは話題になった「火のないところに煙は」が二転三転するミステリー仕立てのホラーだったからそれを意識してのことなのでしょう。
今作のどんでん返しは、徐々に徐々に緊張感が増していき、最後に上手くどんでん返しを使うことで、読後に何とも言えない余韻を残らせるというタイプが多いです。なので、「な、なんだってー!」という作品自体がひっくり返るどんでん返しを期待しているとちょっと肩透かしを食らうかもしれません。
そういう私も「驚天動地のどんでん返し」を求めてこの本を買ってしまったのですが、読了後に感じたことは、この本の一番の面白さはどんでん返しではなく、そこに至るまでの過程に漂う緊張感であると思いました。
様々な女性の描き方の面白さ
私は女流作家が書いた、女性を主観に置いた作品が好きです。何故かというと、かなりの確率で新しい発見がそこにあるからです。
特に、「こういう時、女性はこう考えるのか」ということを多く発見することができます。夫に嫌悪感を持っている妻の描写なんかが出てくると、「俺も結婚したら気を付けなくっちゃな……」とか考えてしまいます。
今作では、様々な女性が登場します。「ありがとう、ばあば」では、孫の教育に熱心な老婆とその重圧を受け続ける少女が登場しますし、「姉のように」では、事件を起こした姉のようになってしまうのではないかと怯える小さな子供を持った主婦が登場します。
上2つの短編はおすすめですね。女性主人公の心情の描写がとても緻密で好きです。
5つの短編の中で一番好きなのは?
私は「姉のように」が一番好きでした。
主人公の心理描写、方言が使われていることでのリアリティ、そして、どんでん返し。1度読んだ話をもう1回、最初から読んでしまうという体験をしたのは初めてでした。
ぜひとも、読んでいただきたい作品ですね。
怖いのは嫌という方は……
「火のないところに煙は」はとて面白い作品でしたが、同時に怖い作品でもありました。「怖いのはちょっと……」という方も多いと思われますので、そういう方はこちらの作品から芦沢央先生の作品に入ってみてはいかがでしょうか?
それでは、また!
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