5冊目・ダブル

5冊目・ダブル

 

うーむ…なにかおかしい…

前回投稿したSAOを読んでからなにかもやもやする日々が続いておりました。

目を閉じれば聞こえてくる。

VRも異世界召喚も転生も今は見たくない、見たいのは現実世界の話なんだよ!」という叫びが。

いや、別にSFが嫌いというわけではないのですが、やはり読みたい本というものは日々変わっていくものなので、私が読む本を選び間違えたということなのでしょう。

というわけで、今までに買っていた本の中で、何か、今、自分が読みたいのではないかという本がないか探していたところ、深町秋生先生の「ダブル」を見つけました。

 

この本確かハードカバー版買おうか迷っているうちに文庫版が出て、「お、文庫版で新しく出てるじゃん。ラッキー」なんて考えて買った記憶があるな…ということは初版の発行日を見れば、いつ買ったかわかる。どれどれ…

平成24年10月10日 初版発行

 

 

ショックです。まさか7年も放置していたとは…

もっと探したらまだいろいろ出てくると思います。

 

では、5冊目、深町秋生先生の「ダブル」の紹介をしていきます。

 

舞台は現代の日本。人の中枢神経に作用し興奮作用を引き起こす禁止薬物CJ(クールジュピター)。その薬物を密売することによって急成長する犯罪組織があった。

その組織で働く刈田誠次は殺しの腕と頭の切れの良さで、組織のボス、神宮寛孝からも一目置かれる存在だった。

しかし、同じく組織の人間で誠次の弟、武彦がCJに手出してしまう。

組織内でCJに手を出すことは御法度。誠次は何とか弟を助けようとするが失敗。武彦は神宮によって始末され、誠次の元恋人である美帆も巻き添えに殺されてしまう。

誠次自身も瀕死に陥るが生還。病室で目を覚ました誠次に警視庁の組織犯罪対策課に属する園部佳子はある提案をする。

顔と声を変えて組織に潜入、神宮の首をとれ、と。

 

作品評価=

 

よくよく考えてみると、日本の組織犯罪ものってあまり見ないよなあと感じました。ヤクザものは映画や「龍が如く」のようなゲームで見ることが多いですが、ステレオタイプなヤクザものが多いのかなと思います。

というか、普通に生活してて裏社会や組織犯罪グループのことを知る機会って、まず、ないと思います。ニュースで取り上げられることはほぼ無いし、あったとしても末端の詐欺集団のニュースだったり。

 

なので、この小説の序盤を読んでいると頭の上に?が何回も灯りました。

これ…日本の話なの?」って感じで。要するに日本が舞台の組織犯罪ものに頭が慣れていないわけです。

頭の中の情景では東京よりも香港の街並みが再生されていました。

 

他にも、街中でスナイパーライフルで狙撃したり、グレネードランチャーぶっ放したり…この日本怖すぎだなと平和ボケした日本人らしく読んでいました。

 

「現実世界…自分の思っていたものと違ったか…」

なんて思いながら序盤読んでいましたが、途中からこの本、リアリティがあると思うようになってきました。

 

何故、リアリティがあると思うようになっていったかというと、まさに深町秋生先生の技量によるところだと思います。

日本の組織犯罪ものにピンとこなかった私でしたが、その他のすべての描写に現実感というか生々しさが表現されているので、これは実際にあるんじゃないか? と錯覚してしまうのです。

暴力描写、主人公たちの少年時代の虐待の描写、銃撃戦の描写、その他、生々しくもわかりやすい、読みやすい作品になっています。

 

さらに、この作品、リアリティを追及しているだけでなく、きちんとエンターテイメント性もある作品です。

主人公の正体がバレるかどうかハラハラしたり、ハリウッドばりの銃撃戦があったり、裏切り者を探すミステリー的要素があったりと、最初から最後まで全く飽きさせない展開が繰り広げられます。

 

キャラクターも一癖も二癖もある人間ばかりで、面白いです。

題名通り二面性のある主人公誠次、いやらしさ抜群の組織の男、阪本、そして一番はつかみどころのない、カリスマ性を備えた組織のボス、神宮。

無駄な登場人物が一人もいない作品って楽しいですね。

 

それで、どんな方におすすめかなあと思っていたところ、やはり香港ノワールが好きな人にお勧めしたいです。「インファナルアフェア」とか好きな人は絶対楽しめると思います。

 

最後に、組織犯罪の本買ってみようかなと思う今日この頃でした。ではまた。