(ネタバレ注意)9冊目・死に山 世界一不気味な遭難事故≪ディアトロフ峠事件≫の真相

(ネタバレ注意)9冊目・死に山 世界一不気味な遭難事故≪ディアトロフ峠事件≫の真相

どうも、さわおです。

今回、紹介する本はドニー・アイカー先生の「死に山 世界一不気味な遭難事故≪ディアトロフ峠事件≫の真相」です。

 

1959年のソ連・ウラル山脈で遭難事故が発生した。

遭難した登山チームは全員死亡。その遺体には不可解な点が多く発見された。極寒のテントの外で靴を履いていない。衣服もろくに着ていない。3人には重度の外傷、メンバーの1人の舌は消失していた。そして、衣服からは基準値の倍ほどの放射線が検出された。

捜査は事件の解明を待たずに終了した。

50年以上を経た現在でも、多くの議論が交わされるこの事件にアメリカのドキュメンタリー作家である著者が挑む。

 

作品評価=

 

購入した理由

この本を見つけたのはAmazonのランキングに載っていたとか、ベストセラーの棚に並んでいたわけではありません。本屋さんでたまたま見つけたのです。表紙に大きく「死に山」と書いてあるので非常にインパクトがありましたので。

表紙を開いてカバーに書かれているあらすじを見てみると、何かゾクッとするものを感じたので購入しました。

 

前知識は必要か?

全くもって必要ありません。ソ連ってどこの国? という方でも楽しめる本であると思います。

上に書いたとおり、この本は1959年にソ連・ウラル山脈で起きた遭難事故を題材にしています。

私は、ウラル山脈という名前は何となく聞いたことがありましたが、この事件については初耳でした。

著者は、50年経った今でもインターネット上で話題を集めていると書いていますが、私にはいまいちピンときませんでした。やはり、アメリカと日本ではソ連に対する関心度合いは大きく差がでるものがあると思いますし、冷戦時代を生きていない私にとって、ソ連に対する関心はほぼ無いに等しいものでした。

しかし、この本を読んでみると、非常にソ連に関心を持つことができます。

何故か? それは、なんといいましょうか、この事件を解く上での「副産物」いや、なんと言ったらいいのか……

まあ、それは後から書くとして、内容の方の紹介をしましょう。

上質なミステリーを読んでいるような構成

この本は、普段、ノンフィクションを読んでいない方にこそおすすめな本です。

理由はこの本の構成がミステリー作品のようにできているからです。この本では3つの視点で話が構成されています。

1つ目は1959年、遭難した登山グループの視点。

2つ目は遭難した登山グループの捜索隊の視点。

そして、3つ目は2012年、様々な行動を起こしなんとか事件の真相に近づこうとする著者の視点。

この3つの視点が非常に上手く切り替わることで先がとても気になる内容になっています。

 

著者の事件への熱意

本の著者、ドニー・アイカー氏が事件を知ったのは、私がこの本を選んだときと同じようにたまたまだったそうです。

そこからネットで事件を調べはじめるのですが、実際、ネットで調べる程度であれば誰でもできることですし、そのネットの情報のみで構成された都市伝説本なども存在します。

この著者はというと、ネットでこの事件について調べ尽くすと、ロシアの「ディアトロフ財団」(事件を風化させないための財団)へ連絡をとり、実際にロシアに行き、関係者へ取材をし、そして遂には、事件現場である極寒のディアトロフ峠まで出向いてしまうのです。

この著者のディアトロフ峠事件への熱意はひしひしと読者である私に伝わってくるもので「この本は絶対に読み終えなければならない」と心の底から感じました。

 

見どころ

上の方で事件を解くための「副産物」と書きましたが、個人的には事件の謎より登山メンバーの事件が起こるまでの経緯に非常に心を揺さぶられました。

頑強な肉体と精神を兼ね備え、歌を愛し、そして何より冒険心にあふれた若者たちの旅路が、取材や日誌などをもとに、細かく書かれています。

この文章が非常に秀逸で、まるで自分もチームと一緒にいるような気分にさせてくれます。

このようにメンバーたちに感情移入していくにつれ、ふつふつと「彼ら、彼女らはなぜ死ななければならなかったのか」という疑問が自然に湧いてくるのです。これは著者も同じ気持ちではないでしょうか。

 

謎の答え

もちろんといいますか、ここでそのことを書くことはありませんが、本の中で著者の結論はきちんと記されています。レビューサイトなどを覗くと、疑問が残るという意見もありますが、私は結構、納得させてもらいました。確かに完全にというわけではありませんが50年も解決していない事件です、そう簡単に真実は見つけられないでしょう。

しかし、この著者の行動は無駄なわけがありません。このディアトロフ峠事件の事実だけを抜き出し、自分の考える結論を科学的に出し、一冊の本にする。まさに「ディアトロフ財団」の掲げる事件を風化させないことに非常に貢献しています。そして、この事件の関連本の中では多くの意味で最高の本でしょう(というか日本で発売されているこの事件のノンフィクション本はこれしかないみたいです、間違っていたらすみません)

 

国に興味を持つということ

国に興味を持つ理由は様々だと思います。文化、思想、宗教、慣習……

私はこの本を読んでソ連についてもっと知りたいと思いました。その理由は、当時を生きたソ連の若者たちに惹かれたからです、この事件に遭遇した若者たちに。その国の人に興味を持つ、それもまたその国を知りたいという欲求につながるのだと身をもって気づかされました。

 

ぜひ読んでみてください!

初めは野次馬根性で読み始めた本でしたが最後にはなにか不思議な気持ちを得ていました。そのような本、なかなかないのではないでしょうか。

非常におすすめです、ぜひ読んでみてください。