『英雄伝説 空の軌跡 FC Evolution』:軌跡シリーズの感想(ネタバレ含む)

『英雄伝説 空の軌跡 FC Evolution』:軌跡シリーズの感想(ネタバレ含む)

導力器(オーブメント)が発明されたことによって「導力革命」が起こり人々の暮らしが飛躍的に豊かになった「ゼムリア大陸」が物語の舞台。
大陸の南西に位置する「リベール王国」内にある田舎町「ロレント市」に住む少女、エステル・ブライトは「遊撃士」である父の帰りを待っていた。
帰ってきた父は土産として黒髪に琥珀色の眼が印象的な、傷ついた少年、ヨシュアを運んでくる。ヨシュアはブライト家の養子となり、エステルとヨシュアは家族として過ごしていくことになる。
それから、5年が経ち、16歳となったエステルとヨシュアは「遊撃士」となるために日々の修行に明け暮れていた。

壮大な物語はこの2人から始まる。

軌跡シリーズとは

2004年に発売された『英雄伝説VI 空の軌跡』から始まるシリーズで日本ファルコムが開発・発売しているRPGのことを指します。
2021年8月現在、大きく分けて『英雄伝説VI』、『英雄伝説VII』、『英雄伝説 閃の軌跡』、『英雄伝説 創の軌跡』、『英雄伝説 暁の軌跡』の
5作品が発売されており、2021年9月30日には新作である『英雄伝説 黎の軌跡』が発売される壮大なシリーズになっています。

今回、紹介する『英雄伝説 空の軌跡 FC Evolution』(以下、『FC Evo』)はPlayStation Vitaで角川ゲームスが発売した「FC」の移植作品となっており、楽曲のフルアレンジ、キャラクタービジュアルの変更、イベントシーンのフルボイス化などのリニューアルがされています。

『FC Evo』の感想

私は「空の軌跡シリーズ」はPSP版をプレイしていたのでリニューアル前とどうしても比べてしまうのですが非常に満足のいく作品になっていました。まずは良かったところから書きだしていきたいと思います。

・改めて感じるストーリーの面白さ

「遊撃士協会」と呼ばれる、民間人の安全、平和を守ることを目的とした団体の一員になるため「遊撃士(ブレイサー)」を目指す少女、エステルが今作の主人公となります。

共に「正遊撃士」を目指すヨシュアと共に各地で起こる事件を解決しつつ、最終的に国を動かす陰謀に立ち向かっていくストーリーとなっています。

エステルとヨシュアが一人前になるために王国の各地を回りながら多くの仲間たちと出会いながらミッションを攻略していく、まさに「王道RPG」といった感じです。しかしながら、この『FC Evo』のストーリーが展開されていく中で、何か腑に落ちない点が多くでてきます。それらは全てのちの伏線となっており、非常に練り上げられたストーリーであるということがわかります。

・個性的でしっかりと作られているキャラクターたち
2人の旅先で知り合う仲間や敵にはしっかりとしたバックボーンがあります。それらの要素はこの『FC Evo』だけでは語られることがないキャラクターもおり、深みのあるキャラクターたちが描かれています。

・ゲーム性について
物語の舞台となる「リベール王国」には、ロレント、ボース、ルーアン、ツァイス、王都グランセルの5つの主要都市があり、エステルとヨシュアはこの都市で「遊撃士協会」への依頼を達成していき、「正遊撃士」になるための推薦状を貰うことがゲームとしての主な目的になります。
依頼内容は様々で魔獣退治から迷子の猫探しまでといった感じで多様なミッションを楽しむことができます。

・『FC Evo』での新要素について
今作の『FC Evo』では多くの新要素が追加されていますが、ほぼ全てにおいて好印象なものでした。
まず、キャラクターデザインの一新ですが、キャラクターデザインが現代風に書き下ろされており、今作から「軌跡シリーズ」をプレイしたいという方にはまさにうってつけであると思います。ただ、以前のデザインが好きであるという方も多いとは思うのでそこは好みの問題かもしれません。
次に、イベントシーンのフルボイス化ですが、これは非常に良かったと思います。私はゲームのフルボイス化に少し疑念を持っている人間なのですが(ゲームのテンポ、想像性を損なう可能性があるため)今作、『FC Evo』では確実にプラスに働いていると思います。
もともとストーリーが面白い今作ですから、ボイスが付くことによってキャラクターの個性がより強まり、以前にはなかった面白さを見つけることができます。特にオリビエやロランス少尉などは声が付くことでその人となりが非常にわかりやすくなっていると思います。
それと、一番良かったのは早送り戦闘ですね。後半になるにつれ敵が固くなっていく今作ですが、早送りできるのでストレスがたまることはあまりありませんでした。現在のテンポの良いゲームをされている方でも耐えられる戦闘のテンポだと思います。
他にも多くの要素が追加されていますので、PC版、PSP版、PS3版はやったよという方でも新鮮な気持ちで遊べるゲームになっていると思います。

もともと2004年の作品だけど……古臭さは無いの?

本当は「どんなに古いゲームでもその世界観に入り込める傑作であれば古臭さなど感じない」という旨の文章を書こうと思っていたのですが、今回、この『FC Evo』をプレイしてみて、「これは一周したな……」と思いました。というのも、以前PSP版をプレイしたときは「ここの設定やセリフはちょっと懐かしい気分だな」というところがあったのですが、『FC Evo』をプレイしてみるとそういう「あー、こういうキャラ、昔いたよね」という気持ちが全く湧かなかったんですよね。
もう20年近く前の作品ですし、システム面やキャラのグラフィックなどは変わっているので、今からプレイする中高生の方などは新作をプレイする感覚で楽しめるのではないでしょうか。

『FC Evo』で唯一イマイチだったところ

エンディングです。これはちょっと私は気になってしまいました。
『FC Evo』のエンディングは以前のものと同じくヨシュアがエステルのもとを去ってエンディング曲の「星の在り処」が流れるのですが、そこで写真がゲーム画面に映し出されるのですね。その写真の内容が旅の道中を写したものになっています。これはこれで良いと思うのですが、私は「ちょっと待った!」と言いたくなりました。

以前のFCだと「星の在り処」が流れながら写真が画面に映し出されるのは同じなのですが、その内容がヨシュアとエステルが出会ったときからの写真になっているのです。

この演出はかなり重要なものだと思うのです。

物語の最終盤、ヨシュアがエステルに以前の自分は多くの汚れ仕事をしており、心の壊れた化物であると打ち明けるのですが、エステルはヨシュアに愛の告白をし、一緒にいようとヨシュアに言います。しかし、ヨシュアはそれを拒絶してエステルに睡眠薬を盛り、1人で行動することを選ぶのです。そこから先ほどのエンディングに向かう構成になっているのですが、このエンディング自体がエステルの心境そのものになっているんですね。
出会った頃のヨシュアはまだ眼に光が無く暗い感じなのですが写真が移り変わるにつれてだんだんと眼に光が灯っていくんです。これはエステルの心の中の映像であり(カメラを撮る人間が居ないので)ヨシュアは心の壊れた化物などではないという演出になっています。そして歌詞の最後、

愛してる ただそれだけで 二人はいつかまた会える

という歌が流れるところでエステルが旅の準備を終えて空を見ながら微笑むシーンが映り「FC」が終わるのです。

一応、『FC Evo』でも同じシーンがあるのですが顔が良く見えないんですよね。

このエンディングについては以前のものの方が続編へのモチベーションが高まると思いますし、感動できると思います。

Vitaを持っていればぜひプレイを!

「軌跡シリーズ」はPS4を持っていればほぼ全作プレイできるようになっているのですが、何故か、本当に何故か、この「空の軌跡 Evoシリーズ」はPSVitaが無いとプレイできません。切にPS4移植を希望です。

お次は『SC Evo』だ! ということで。それでは、また!