(ネタバレ注意)なろう1冊目・転生したらスライムだった件1
- 2019.06.17
- なろうを読もう!

どうも、さわおです。
今回から普通の読書感想文とは別にWeb小説出身専門のカテゴリーを設けることにしました。
理由は長くなるので割愛します。まあ簡単に言うと興味があったので、これから読んでいこうと思ったからです。
では、早速書いていきましょう。
今回、紹介する本は伏瀬先生の「転生したらスライムだった件」です。
普通の人生を送っていた、37歳独身の三上悟は路上で通り魔に刺されて死んでしまう。
次に意識を取り戻した時、なんと悟はスライムとして異世界に転生してしまっていた。
まずは、地の文に慣れるところから。
私は、異世界転生もののWeb小説、いわゆる、なろう系の本をしっかりと読んだのは初めてでした。(SAOは作者自身のウェブサイトで連載されていたようなのでちょっと系統が違うかも)
序盤を読んだ感想は、「これは、読むのつらいなあ……」でした。読みづらいのではなく、読むのがつらいのです。
何故、つらいのか。それは、文章が稚拙に見えるからです。
実際に稚拙か、稚拙でないかはわかりません。私は読書家ではないですし、文章の専門家でもありませんから。それなら何故そう見えてしまうのでしょうか?
基本的にこの物語、いや、なろう系という作品の序盤をサイトでいくつか読んでみると、かなり砕けた文章、書き言葉や話し言葉とはまた違う、脳内言葉(そんな用語はありません)といったような文章が多い気がします。
私が学生時代、学校での授業を受けながら脳内言葉をやっていた記憶があります。自分の頭の中で一人で会話するというものなのですが、他人に伝える言葉ではないので、ところどころ丁寧語だったり、そうでなかったりします。他にも、その時代に流行っている言葉、ネットスラングなどを織り交ぜながら、退屈しのぎに妄想を広げながら、脳内で話し、それにツッコミをいれたりしていました。(脳内言葉というより脳内独り言みたいな感じ)
この作品では、地の文がほぼそのような脳内言葉で構成されています。これに慣れるのがなかなかつらかったですね。
Web小説ゆえのスピード感
半分ほど読んで、文章に慣れ始めたときにひとつ気づいたことがありました。序盤、文章に悪戦苦闘していた時は読むスピードはあまり早くなかったのですが、慣れてくると、この作品、恐ろしいスピードで読むことができるんです。
それで、この独特な文章にも合点がいきました。
無名の作家が氾濫しているサイトの中で、一番重要なのは読者の読むスピードだと思います。読む時間が早ければ最新の更新された話まで読んでもらえる可能性が高まりますし、PV数も増えることでしょう。
設定について
先ほどまでの「なんちゃってWeb小説論」は置いといて、作品の話を書いていきましょう。
設定はある程度、RPGゲームやファンタジーに触れていないとよくわからない描写が多いと思います。
種族はエルフ、ドワーフ、ゴブリンなどのファンタジー作品でおなじみのものが出てきますし、あとはクラスだったりスキルだったり、TVゲーム馴染みのない方にはかなり厳しいのではないでしょうか。
計算された? キャラクターたち
キャラクターについてですが、主人公以外はあまり印象に残るキャラクターはいませんでした。それというのもキャラクターの性格などがかなり簡素化されているように感じたからです。
これも読むスピードを上げる効果があると思います。キャラクターに複雑な性格や感情を表現させないことでかなり薄味になってしまいますが、仲間は裏切ることはないですし、敵はわかりやすいほど憎々しい。何も心配することなく読了することができます。
ストレスフリーな読み物
主人公は転生する際に、多くのスキルを獲得します。そのため、苦痛を感じることがほとんどありませんし、1巻の時点では主人公にかなう敵はいません。
この設定、「チートもの」というらしいのですが、結構、衝撃的です。
基本、物語というものは主人公の苦悩こそが面白いものだと思うのです。何か壁にぶつかり、精神的に肉体的に成長を遂げたり、駄目だったりする。そういう主人公を見て共感したり応援したりするのが物語であると勝手に思い込んでいました。
しかし、この主人公に1巻時点では大した苦悩や壁は登場しません。周りのキャラクターは主人公を崇めたり、一目置いたりしてますし、強敵も難なく倒してみせます。
面白味は薄いですが全くストレスがかかりません。このストレス社会が生み出した小説がこのようなチートものなのかもしれません。
ストーリーは……
完全にストーリーのことに触れるのを忘れていました。しかし、特段書くことは無いです。主人公がスライムであるということに特異性を感じて読んでみましたが、スライムだからどうこうという話でもあまりないようなので。
なんとなく、読んでいて「なんかゲームやってるみたいだな」と感じさせられました。ゲーム好きにはおすすめ……でもないです。それならゲームやった方がいいかなと思いますし。
何も残らないゆえに価値ある作品
この作品を最後まで読んで、得られる知識はほとんどないです。大きな感動もないです。先が気になることもないです。ただ、朝は気持ちよく起きられます。
おそらく読者のニーズを計算してこのような構成になっているのだと思います。辛い話は読みたくない、重い話も嫌だ、もうなんかいろいろと疲れたという方におすすめな本です。
(酷評しているように見えますが、読了後、けっこう満足感を得られました。あまりフォローになっていませんが)
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