「背の眼」-完全なホラーかと思いきや…上質なミステリー作品

「背の眼」-完全なホラーかと思いきや…上質なミステリー作品

ホラー作家である道尾は、旅先の白峠村で不気味な声を聞く。

恐ろしくなった道尾は急いで都心へと逃げ帰ったが、その正体が気になった彼は大学の同窓で「真備霊現象探求所」を営む真備庄介のもとを訪ねる。

話を聞いた真備は「背の眼」という文字が記されたファイルを道尾に見せる。そこには白峠村、あるいはその近くで撮影された写真がいくつか収められていた。そして、被写体の背中にはこちらを見つめる眼が。

その眼が背中に写った人間は数カ月以内に自殺していた。

道尾、真備、そして真備の助手である北見凛は真相を確かめるために白峠村へと向かう……

 

作品評価=★★(最大★三つ)



ホラーとミステリーが上手く融合された作品

今回紹介する作品は道尾秀介先生の「背の眼」です。

曰く付きの場所で撮影された心霊写真に写っていた人間が次々死んでいく……

「んーよくあるホラーかな?」

という印象を持たれる方もいると思います。

ただこの「背の眼」は心霊というものを描きながらも、実際はかなりミステリーに重きを置いた作品になっています。作品内でも話題になりますが「シャーロック・ホームズ」に近い印象を受けます。知識豊富で事象に対する分析能力、行動力が高く、どこか常人離れした真備がホームズで、作家で人情味のある道尾がワトソンといった感じでしょうか。

作品の事の発端は「心霊写真」「霊の声」と超常現象ですが、そこから白峠村で起こっている、子供が忽然と消える「神隠し」へと話は広がっていきます。自殺、失踪、他殺体、それらは霊の仕業なのかそれとも人間の仕業なのか…というのが本作のメインとなっています。

話の流れはスローテンポながらも、読者を飽きさせない作り

この作品は上の写真を見た通り、上下巻に分かれているのですが、物語の展開が遅いように感じます。何せ物語が大きく展開するのは下巻の中盤近くです、それまでは新事実が出たりするものの少し大人しい印象を受けました。

しかし、真備の心霊現象に対するカテゴリー分けの話や、道尾たちが宿泊する旅館の主人、歌川のコミカルなキャラクターなどが面白かったり、この作品のすべてをとおして存在する不穏な空気感は素晴らしく、最後まで独特な緊張感を持って読むことができました。

そして、その少し冗長ともいえる序盤、中盤にふんだんに散りばめられた伏線の数々には驚きでした。実にミステリー寄りだと思います。

それで……怖いの?

結論から書きましょう。怖いです。かなり怖いです。

下巻の大きな動きからの展開はまさに「怒涛の展開」という言葉に当てはまります。

物語が二転三転し、なんとも言えない不安感、恐怖感が読者に襲い掛かります。「あわわ…」と漫画のようなセリフが口から出てくること間違いなしです。

今回はあまりネタバレは無い方向で

ミステリーでネタバレってどうなのだろう……と思いつつこの記事を書いていますが、今回は紹介できるギリギリを攻めてみました(結構、ネタバレしているかも……)。ミステリーが好きな方、そしてホラーが好きな方は是非とも手に取ってもらいたい作品ですね。では、また!