「紗央里ちゃんの家」-夏休み、出迎えてくれた叔母さんの手は血に染まっていました……ダークでサイコなぼくのなつやすみ

「紗央里ちゃんの家」-夏休み、出迎えてくれた叔母さんの手は血に染まっていました……ダークでサイコなぼくのなつやすみ

小学五年生の「僕」の家族は夏休みになると親戚の家に行くことが決まりになっていた。ある事情から今回は「僕」と父の二人で家を訪れたのだが、何か様子がおかしい。

数カ月前に死んだ祖母、消えた従姉の紗央里ちゃん、手を血で汚した叔母さん、そして、家の中に漂う異臭。

そして、「僕」は見つけてしまった。

洗面所の床に転がっている「指」を。

 

作品評価=★★(最大★五つ)

 

小学五年生の「僕」のひと夏の冒険?

ではないな。ただ、「僕」の恐怖体験ともまた違う構成になっているのが矢部嵩先生の作品「紗央里ちゃんの家」なのです。

例えば、あなたが親戚の家に行き、叔母が血まみれで玄関の扉を開けてきたらどうするでしょう?

私でしたら驚きつつ、何があったのか叔母に問いただすでしょう。

また、もし洗面所の床に指がころがっていたら?

私だったらさっさと110番してしまうでしょう。

しかし、「僕」のとった行動は違います。血まみれの叔母を見ても魚を捌いていたという言葉に「ふーん」と言ってしまいますし、指を見つけても110番せず、家の中を探索し始めます。

この「僕」にも異常性を感じてしまうところですが、「小学五年生」という「僕」の学年がこの作品のギリギリバランスを保っているところだと思います。

「うーん……小学五年生ならまあ、アリなのかな」といった感じです。

つまり、この作品は「僕」の主観で物事が進みながらも読者に一切感情移入させない、まるで他人の日記帳を見ているような作品なのです。

俯瞰で読む極度の異常性。狂っているのは誰か?

本作は160ページほどということもありますので、あまり内容に言及するとネタバレに次ぐネタバレとなってしまいます。ですので本作を楽しむポイントを箇条書きにしてみたいと思います。

・紗央里ちゃんはどこに行ったの?

・随所に散りばめられた異常さ

・ゴア表現

となります。

あらすじにもありますが「指」がまず登場しちゃいますので、グロテスクな表現が苦手な方は控えたほうが良いと思われます。

逆にグロテスクな話の本を気軽に読みたいという方にはうってつけの本ではないでしょうか。

是非読んでみてください、それでは、また!